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地元の素材と文化を伝える“ふるさとの味”
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簡単な紹介文
*千代姫荘 森田千鶴子さん
こんにゃくや五平餅作りをはじめ、四季折々の手作り体験や豊かな自然の中で育った、旬の味覚・地元の食材にこだわった田舎料理を提供している「千代姫荘」で働く森田千鶴子さん。施設の立ち上げから、現在に至る千代姫荘の歩みと積み上げてきたストーリーを語っていただきました。
普通の主婦たちに任された町の事業 不安と自信の入り混じった挑戦
千代姫荘の開業は平成8年。地元の料理が食べられる場所として、町が事業として宿を開設。宿の管理と調理担当として、当時の「東栄町生活改善実行グループ」(現在の千代姫荘を運営する三健会)の女性たちが集められました。
宿の運営経験などない主婦たちが、町の政策事業を任されることに不安はあったものの、自分たちの実力と経験を活かす機会と、みな内心やる気と自信を秘めていたそうです。開設にあたり開かれた集会では、「素人の女たちに任せて大丈夫なのか」という声が。緊張に包まれる中、当時のグループの会長が「やってみせます!」と宣言。全てはそこから始まったと、千代姫荘の代表も務めた森田千鶴子さんは振り返ります。
時代を先取りした女性たち 仲間との楽しい時間
時代を同じくして、農家レストランや田舎料理が世間で人気を集めるようになると、地元で育てた食材を地元の人々が料理するスタイルの千代姫荘も注目を集めるように。
少しでもお客さんに喜んでもらえるよう本や雑誌をリサーチして献立を工夫したり、特産品の商品開発をしたり、イベント出店に参加したりと寝る暇もなく忙しい、けれど仲間と充実した楽しい日々が続いたそうです。
「普段の家庭の味だけどプロの味」はファンを増やし、鮎や天ぷらといった季節の味覚を味わいに来る常連客も定着。気さくで朗らかな地元の女性たちのおもてなしに、「ふるさとのお母さんに会いにくるような」気持ちで足を運べる場所として、千代姫荘は町の大事な顔のひとつとなりました。
今でこそ女性の起業は増加していますが、当時、山間のまち東栄町で普通の主婦たちが自分たちの知恵と行動で町の事業を成し遂げたことは、時代の先取りだったと言っても過言ではありません。千代姫荘事業の立ち上げは、東栄の山で暮らす明るく芯のある女性たちの生き方を表す美しい物語そのもののようにも思われます。
現在は少しずつ若い世代のスタッフへと引き継がれながら、お客さんが喜んでくれることをやりがいに、変わらぬ「東栄町の台所の味」を提供し続けています。