チェンソーアートと東栄町
チェンソーアートとは、1本の原木からチェンソーを駆使し、ダイナミックかつスピーディーに繊細な作品を作り上げるもので、一言でいうと「チェンソーを使った彫刻」のことです。発祥は、カナダやアメリカと言われていますが、日本で普及したのは東栄町が初めてで、東栄町はチェンソーアート日本発祥の地とも言われています。
きっかけは、2000年の10月。東栄町にチェンソーアート永久世界チャンピオンで、マスターズ オブ ザ チェンソー主宰のブライアン・ルース氏がイベントのゲストとしてやってきてデモンストレーションを行ったことにあります。この時、東栄町の森林資源を活用できるだけでなく、豪快なアートとして多くの人を魅了するチェンソーアートを活用し、地域を盛り上げたいと立ち上がったのがチェンソーアートクラブ「マスターズ オブ ザ チェンソー東栄」(※以下「チェンソーアートクラブ」)です。
「マスターズ オブ ザ チェンソー」はルース氏が主宰するアメリカのトッププロだけが所属することができる集団で東栄のチェンソーアートクラブは、世界で唯一この名称を使うことが許されています。
チェンソーアートクラブでは、チェンソーアートの技術習得や普及のため、全国から選手を募り「日本チェンソーアート競技大会IN東栄」を毎年5月の最終土・日曜日に開催しており、東栄町を発端に多くのカーバー(チェンソー彫刻家)が生まれ、現在ではチェンソーアートは全国に普及していて、東栄町の競技参加者だけをみても北は北海道から南は沖縄のカーバーが参加しています。
2019日本チェンソーアート競技大会IN東栄
2001年から開催している競技大会は、今年で19回目を迎え、来年の20回記念となる大会は、世界中のカーバーを募り世界大会としての開催を予定しています。
チェンソーアートクラブでは、来年の世界大会に向けコンセプトの明確化やより大会を盛り上げるための新たな取り組みにも積極的に動き出しています。今年の大会では、エコ活動として使用済みてんぷら油の買取りを行い、回収したてんぷら油を自然に優しい生分解性チェーンオイルとして再利用する活動をスタート。大会後も東栄町内にステーションを設けて、定期的に買取り出来るよう精力的に進めていく予定だそうです。
それ以外にもパワーアップした今年の大会。詳細は、見出しのリンク先をご覧ください!
チェンソーアートクラブが活動に込める想い
チェンソーアートクラブの活動は、年に1度大会の開催に協力することだけではありません。全国各地でのチェンソーアートのデモンストレーションや公共施設等での作品の展示、作品の販売などを行っており、身近に自然や森林を感じてもらったり、林業の課題に目を向けてもらうための活動も行っています。
またチェンソーアートは、森林資源の活用という目的から、基本的に地域の間伐材を活用して制作されています。毎年開催している競技大会でも、町内の山主さん達に協力いただき、地元の木を大会の作品制作に使用することで、林業の活性化にも取り組んでいます。
山主さんと大会チャンピオンが交流
この4月に、昨年の大会で初優勝を遂げた丹羽哲士さんが、昨年競技用の丸太を提供した森下さんが所有する深谷地区の山にて、スタンプカービング(切り株を使ったチェンソーアート)で恐竜の作品を彫り上げました。丹羽さんは、この根っこのすぐ上の部分を伐りだした丸太を使って優勝しました。そんな思い入れのある木の根を彫った作品がこちら!
優勝作品は卵から生まれた恐竜の赤ちゃん(上部写真右)で、今回の作品は、卵を守る恐竜のお母さんが、最近増えすぎて困っている山のケモノたちに睨みを利かせているというというコンセプトで作成された作品です。また本作品は、よそ見をしている母恐竜の眼をかすめて卵にちょっかいを出すシーンでインスタ映えする写真が撮れるのも面白い発想です。そして、通常なら彫刻のゴミとして扱われる木っ端や樹皮を巣に見立てているあたりも国内では珍しい作風です。 作品の場所はこちらを参照ください。
クラブの活動目的でもある森林資源の活用、林業の活性化とチェンソーアートの繋がりを感じていただける作品ができました。チェンソーアートクラブでは、このようにチェンソーアートを通じた林業振興の可能性を感じる活動も行っています。
チェンソーアートに挑戦してみよう!
また、チェンソーアートクラブでは、技術向上やカーバーの交流、新たにチェンソーアートを始める仲間づくりのために、毎月第3土曜・日曜にクラブ員の練習会を開催しています。
「チェンソーアートに挑戦してみたいけど、道具もないしどうやって始めたらいいかわからない!」という人向けに道具の貸し出しや、経験者による指導なども可能です。また、クラブ員も大募集中だそうです。興味のある方はぜひ気軽に挑戦してみてくださいね
お問い合わせ:0536-76-1199
クラブ員募集チラシ
記事作成スタッフレビュー:伊藤拓真
僕が小さいころから毎年開催されてきたチェンソーアート競技大会は、町外からも多くの人が訪れるイベントで「東栄町と言えばチェンソーアート大会だよね」などと言っていただくことも多いです。しかし、イベントとしてのチェンソーアートに触れるだけでなく、それらの活動の根っこにどんな想いがあるのかを知る機会は少なかったように思います。今回、地元にある森林資源をいかに価値に変え、活用していけるかという視点で、チェンソーアートはまだまだ大きな可能性を秘めているのだと改めて感じました。今年の大会も盛り上げていきましょう!
第19回 日本チェンソーアート競技大会IN東栄
第19回 日本チェンソーアート競技大会IN東栄
チェンソーアートとは、1本の原木をチェンソーを駆使し、ダイナミックかつスピーディーに繊細な作品を作り上げるもので、一言でいうと「チェンソーを使った彫刻」です。
2000年から東栄町を発端に全国に広がり、全国から選手が集まる日本チェンソーアート競技大会IN東栄が毎年5月の最終土・日曜日に開催されます。