地球の長い年月に渡る営みに想いを馳せながら、自然が創り出したユニークな地形の数々を観察してみよう。
奥三河では地球が長い長い年月をかけて作り出した特徴的な地形が所々で見られます。(山深い奥三河も約1800万年前は海でした!)
東栄町でも、約1500万年前の火山の活動の痕跡である六角形の岩の柱が連なった柱状節理が間近で見られる「釜淵」をはじめ、固い岩と柔らかい岩による差別侵食によって形成された「蔦の渕」、愛知県の天然記念物にも指定されている河川浸食地形のポットホールが見られる「煮え渕」といった特徴的な地形観察スポットがあります。
なお見学に行く際には、環境を破壊したり、駐車のマナー違反で迷惑をかけたりすることがないよう、十分に注意しお出掛けください。
柱状節理(ちゅうじょうせつり)の岩盤の上にできた「釜淵」
国道151号線沿いからも見える「釜淵」は柿野川(大千瀬川の支流)にあります。この一帯には、約1500万年前に活動した火山の痕跡でもある安山岩の柱状節理(ちゅうじょうせつり)が見られます。柱状節理とはマグマが冷えて固まる際に収縮して形成される六角形の岩の集合体で、ここでは道路沿いの岩壁から柿野川の川底にまで続いて観察することができます。
「釜淵」はこの柱状節理を河床に3つの渕と3段の滝から成り、それぞれの滝壺は、川底が長年に渡って削られてできるポットホールになっています。
夕方頃に行くと、木々に囲まれた「釜淵」が夕陽の光に照らされ、岩壁がキラキラと金色に美しく輝く幻想的な光景を楽しむことができますよ。
東栄町地内では釜淵周辺や役場の裏の道路沿いなどいろいろな場所で柱状節理が観察できます。
住所:
愛知県北設楽郡東栄町中設楽日向12
差別侵食から形成された”奥三河のナイアガラ“「蔦の渕」
「蔦の渕」は、町を西から東へ流れる大千瀬川のほぼ中央にかかる、落差約10m、幅約70mの大滝です。この地域でも有名な景勝地で、その雄大な様から「奥三河のナイアガラ」と名づけられています。
「蔦の渕」の滝頭は柱状節理を示す堅い珪化安山岩(火成岩)で、滝壷は軟らかい黒色泥岩です。軟らかい泥岩は堅い珪化安山岩より早く風化・侵食されて削り取られ、滝壷となりました。
また蔦の渕には竜神伝説があり、竜宮城へ繋がっているとの言い伝えも。
「とうえい温泉」敷地内から、施設裏手の遊歩道を歩いて約1分のところに、「蔦の渕」を望む展望台があります。ここから迫力ある大滝「蔦の渕」を間近に見ることができます。
また、川を挟んだ対岸の歩道からも滝の全景が見られる場所があり、歩道を進むと渕の近くまで降りられます。対岸には、町道沿いに駐車スペースと看板があります。
住所:
愛知県北設楽郡東栄町大字下田付近
県指定天然記念物のポットホールが見られる「煮え渕」
町の東側、西薗目地区にあり、激しい水の流れを讃える「煮え渕」では、愛知県の天然記念物にも指定されているポットホールという地形を観察することができます。
ポットホールとは、岩盤のくぼみに入った石が水流によって回転し、長い年月の間に穴が拡大してできた自然が作り上げた造形物。川底の花崗岩(天竜峡花崗岩)が削られ、直径約5m前後の穴がいくつも川の中央に連続しています。
※現在、設置されている歩行者専用の赤い橋(煮え渕橋)は老朽化により通行止めとなっておりますのでご注意ください。
住所:
愛知県北設楽郡東栄町西薗目
ファンデーションの原料セリサイトが採掘されている粟代鉱山
最後に。地形ではなく地質のお話ですが、東栄町の粟代鉱山では、セリサイト(絹雲母)という鉱物が採掘されています。セリサイトは凝灰角礫岩を貫く熱水作用で変質した安山岩の岩脈に沿って産出されます。このセリサイトはファンデーションの原料として利用されており、日本で採掘されているのはここ東栄町だけ。のきやま学校にて開催されている手作りコスメティック体験「naori なおり」では、ここで採れた良質なセリサイトを使い、自分だけのファンデーションを手作り体験できます。
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