なぜ、東栄町森林組合さんのお仕事見学へ?
東栄町に移住して2年、ここで過ごす中で“今まで感じなかったモノ”に興味を持つようになりました。旬の食材を味わったり、地域の行事を楽しんだり、季節の移り変わりを空や風で感じたり。暮らす中で感じるモノの変化が私に新しい興味をもたらしてくれています。そんな中で知りたいと思うようになったのが「山」について。ここへ来たばかりのときの私の感想は「東栄町は大自然だ!すごい!」といった感じ(笑)。でも、暮らす中で知った、東栄町の林業の歴史や獣害被害のお話。そんなお話を聞く中で次第に「山」について興味を持つようになりました。
今回は、東栄町森林組合さんが随時開催している「森の仕事を体感 お仕事見学会」へ取材という形で参加させていただきました。普段のお仕事を見学さてもらいながら、山のお話や実際に働く方々の生の声を聞かせていただきました。
山を守るヒーロー“フォレストワーカー”
「木を切る人」=「きこり」というイメージしかなかった私。森林組合さんに到着してまず初めに知った言葉は“フォレストワーカー”でした。(「Forest」森林・「Worker」働く人)きこりとは違ったイメージを醸し出す名前に、かっこいいなあ!と感じました。
フォレストワーカーとは、森林で木を植える、育てる、伐採するといった、森林の管理と木材生産に関わる仕事をする人のこと。木を育てるには50年、60年という長いスパンが必要です。そんな木々を元気に育てるために、雑草を刈ったり間伐を行ったりしながら、豊かな森を育ててくれています。森の命を守るためのお仕事は、まさに“山を守るヒーロー”です!
フォレストワーカーさんたちのお仕事とは?
最初に案内していただいたのは、コナラの植栽地。ここでは広葉樹であるコナラを試験的に育てています。苗を植えてもシカやカモシカといった動物たちにすぐに食べられてしまう現状…。そんな被害を防ぐために、苗木一本一本にネットを被せていきます。
コナラの苗には、黒いネットと白いネットがかかっており、色による効果はあるのか実験している最中でした。日々、工夫を凝らしながら木と向き合っていることを知ることができました。
木の植え付けは春に行うのが一般的。夏になると、苗木の成長を邪魔する雑草を刈る「下刈り」が始まります。雑草が一番成長する暑い時期に行うこの作業はかなり大変だと聞きました。秋ごろに作業する「枝打ち」は、最近はほとんど行っていないそうですが、節のない上質な木を育てるために行われます。その後、木全体に太陽の光が届くように「間伐」を行います。単に木の本数を減らすのではなく、なるべく成長の悪い木や枯れかかっている木を見極めて伐採していきます。そして、植え付けから約50年以上育てた木を、木材として利用するために伐採していく「主伐」を行います。
長い年数をかけて育つ木々たち。フォレストワーカーさんたちが手をかけて大切に育ててくれているということがよく分かりました。彼らのおかげで、木々は成長し、森は大きくなり、豊かな森林を育んでいるんだと感じました。
大迫力の伐採
今回は特別に間伐作業も見学させていただきました。間伐する木はあらかじめ調査済みで、分かりやすいようにロープが巻かれていました。
いよいよ伐採!木を伐る前に伐倒方向を念入りに確認していきます。木が倒れる際に他の木と干渉してしまったり、道路や電線にかかったりすることがないように。確認ができたら、チェンソーで斜めと横から2回切り込みを入れて受け口を作ります。受け口に対して90度の方向に木は倒れるので、微調整しながらチェンソーの刃を入れていきます。バイクのエンジンのようなチェンソーの音が鳴り響く中で、パキパキと木が倒れ始める音が…!狙った方向にだんだんと倒れ始め、ドォーーン!と大きな音を立てて木が倒れていきました!東栄町に来てから、よく森の中から大きな音が聞こえていたのですが、それが伐採の音だったのだと、この時初めて知りました。
東栄町の山のこと
東栄町の森林面積の約8割がスギやヒノキなどの針葉樹。針葉樹は育ちが早く、まっすぐ伸びるので木材として利用しやすいという利点があります。戦後、住宅の建設などに使用する資材が必要になり、東栄町でも林業が繁栄。木材を売るためにたくさんの針葉樹が植林されたようです。しかし、海外から安い木材が輸入されるようになると次第に林業は衰退。林業に関わる人も減っていき、町の人口もだんだんと減ってしまいました。東栄町の山々を見ると、かなり標高が高い場所にも針葉樹が育っています。山を見ると、林業がどれほど盛んだったのか伺うことができます。
現在はかつての森を再生させるために、一部で広葉樹の植林を行っているそうです。山と人との関りは時代とともに変化していきますが、山を大切に思う気持ちは持ち続けたいと思いました。
東栄町のフォレストワーカーさんたちを知って
今回お世話になった東栄町森林組合のみなさん。恥ずかしがり屋なみなさんでしたが、とっても気さくで、優しくて。そして山のことをとても大切に思っていて。本当にすてきな方々でした。そして、彼ら自身がフォレストワーカーのお仕事をとても楽しく感じているようでした。「山のお仕事は天気や日照時間に左右されてしまうが、空いた時間は趣味を楽しめるし、残業もほとんどなく家族と過ごせる時間が増えた」と話していた方も。仕事もプライベートも充実できるお仕事なんだなと感じました。
今回の見学会には女子学生の方も参加しており、彼女も「もっと森林について学びたいと思ったし、東栄町森林組合のみなさんとお仕事できたらおもしろそうだな」と話していました。その他、作業備品の購入補助や住宅手当など福利厚生の手厚さも魅力的だったそう。東栄町森林組合さんのお仕事見学会をきっかけに、10代・20代の若者が林業に興味を持てたことはとても素晴らしいことだなと思いました。
私も今回の見学会を通して「山」の見方が少し変わったような気がします。長い年月をかけて木々の管理をしてくれている人たちがいるからこそ見える景色があったり、暮らせる場所があったりする。周りには、フォレストワーカーさんたちのおかげで循環しているものがたくさんありました。山に暮らす人として、山についてもっと深く知りたいし考えたいと思えました。
















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